小説 運タマギルー 12

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思ったし、気持ちよく感じていた。

宜野湾海浜公園はヨットハーバーに隣接してある大きな白浜ビーチだ。設備は当然そろっていて、シャワーはこの時代にめずらしく温水である。海面は照りつける太陽の光がギラギラしているが、その合間からうかがえる海中の青さは、特段美しく透明に色を染めているかのよう。

「お客様の席は八番です。食材や機材などはこちらで運びますので少々お待ちください。席の使用は二時間です」

八番はこちらから数えて向こう端あたりである。白浜のビーチ沿いだ。但し、シャワー室からは遠い位置。ウッドテーブルの六人席はこの人数に丁度良く感じる。真夏なので風はないが、もし吹いていたのならば、恐らく湿った南風で足元を弱く掬ったかもしれない。ウッドテーブルの下はそれ位にスペースが広かった。ベッキーと梓、それから学の三人はベッキーの母親を置いて一直線に白浜を走った。水着の上から着けていた服は、先ほど脱ぎ捨てている。水着に対する学君のリアクションをベッキーは知りたかったが、彼は女よりも海の方に興味があるようで、何とも肩すかしな気持ちになった。正直がっがり。

学君て、もしかしたらホモセクシャルなのかしら? いいえ、それは違うわ。きっとこうよ。彼は勃起を我慢していたのよ。そう、海辺を眺めて。ほんとうはトップスの中にひそめた桃色の乳首が気になるくせに、なんてひどい男なのかしら? いいわ、そうしてないさい。こうなったら、もっと大胆に見せてやるんだから。そうよ、本番はこれからなの。うふふ♪ 学君はまさか私が恥部を剃毛していることなんて考えてもみない事でしょうね。それとも学君だって剃っているのかしら? 睾丸を? うふふ♪ とっても汚くてよ。わたしったら♪ それにしても学君たら、どうすればわたしの胸元へ注視してくれるのかしら? ほうれっ♪ こうやってそうして胸を絞って振ればいいのかしら? でもあれね、わたし、まだ成長段階でCしかないから、振ったところでそんなに揺れないし。もう! どうしよう? 学君、おねがい。見て……。

なんだかベッキーの様子がおかしいことに気づいた梓が一言もらす。

ベッキー♪ だいじょうぶ? 胸がどうかしたの?

え、ええ? な、なんでもないわ。それより学君が一人だけ大分泳いで、むこうの仕切りネットまで行っちゃった。わたしたちも行かないといけないのかなぁ?

やだ! わたしおよげないし、向こうまでだなんて無理よ。

そうだよね、でも向こうからじゃ胸は見えないし……。

え? い、いえ、なんでもないわ! 待ちましょう。

そうね♪

酷くがっかりしたベッキーは、一体何のためにわざわざ三越まで行ってビキニを購入したのか自暴自棄になる。梓は自身のパイ数の小さい胸元に関して気になっていない様子だったものだから、少しだけ彼女がうらやましいとさえ思った。そして考える。やっぱり学君はホモセクシャルなのよ、と。

学君は当然ながらホモセクシャルではない。只の童子である。恋を知らない少年なのだ。彼の男根の周囲には体毛が生えていないのかとさえ思うほどに、学君は小学生のままなのである。

きっとオナニーを知らないのでしょうね。彼って、私が思ってたよりもだいぶ幼いのかも。

酷い幻滅により、これで恋心は消滅したかに思えたベッキーは、陸に上がりシャワー室へ向かった。もうとっとと着替えてしまいたかった。こんなビキニなんか買うんじゃなかったと怒りを覚えたほど悔しかったし、独り歩きしていた性本能に対してとても恥ずかしくて目も当てられなかった。

共用の温水シャワーはぬるめの三十六度。冷たい海水によって衰弱したからだにはちょうど良く感じる。温度が高すぎてもよくない。シャワー室は個室だ。温水を浴びながらビキニを脱いでゆくと、若干だが日焼けのあとができていた。顎を上げて顔面へとシャワーを打ち付けると、皮肉れた気持ちが嘘のようにどこかへ吹っ飛んだ。

結局、シャワー室でオナニーはしなかった。する必要もない。そう言う場所ではないのだから。しごく当然である。桃色の乳首が柔らかい指先を欲しているようで敏感に勃起していたが、それも服を着けてしまえば気にならなくなった。

シャワー室を出てバーベキューの支度をしている席へ向かう。やはりここからは遠い位置にあるなと感じた。

「あら? ひとり? 学君や梓ちゃんは?」

しらない――。言いかけてやめた。

せっかく心をからっぽにしたというのに。思う。怪訝そうな表情を浮かべていると、母親が察して一言添えた。あっ! 梓ちゃんたちも戻ってくるみたいよ。ほら!

浜を見やる。いない。シャワー室? 視線を変えた。こちらへ戻ってくるのが遠目で確認できた。

梓ちゃん怒っているだろうな。だって、突然、何も言わずにシャワー室へ歩いたんだもの。当然よ。何と言ってごまかせばよい? ごまかす必要なんてない。彼女なら気づいているはず。わたしは学君に対して怒っているのだということを。

海へ入る時間帯よりも大分混みはじめたバーベキュー場は家族連れやサークルか何かのつどいのような集団が確認できる。気にはならない。そう言う場所なのだから。あたりにはもくもくと炭火でバーベキュー肉を焼いた香りが充満している。とても良い匂いだ。

さて、わたしたちもそろそろ焼き始めましょうか。母親が言う。梓と学君はもうすぐそこまで来ている。肉を焼き始めるには絶好のタイミングかも知れない。それよりも、まずは野菜からだ。それと、きのこ類。炭火焼ではシイタケが特にうまい。

あっ! もう始まっちゃってるんですか? 梓の声だ。

うふふ♪ そうよ♪ さあ、ふたりとも座りなさい♪

お母さんはにこにこしているけれど、ベッキーのほっぺは膨れたフグのよう。それもそうだろう。大好きな人がよりによって梓と、などと思ったのだから仕方がない。

なによ! そうやっていちゃついていればいいわ。わたしはね、買ったの。あなた好みの水着を購入してやったわ。 それなのになによ! トップスをじっくり観察もせずに起きのほうへ泳いで行くだなんて! しかもとどめにいちゃつく相手は梓ですって? ふざけないで! もう離婚よ! あなたとは終わったの。出て行ってちょうだいな。ええ、そうよ。このバーベキュー場から出て行ってちょうだい!

ベッキーはバーべキュー肉をどしどし食べた。腹が立って腹が立ってどんどん食欲がみなぎる。もうどうしようもない。

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