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運タマギルー

小津 運タマギルー

  • 2022年4月4日
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小説 運タマギルー 最終話 特大号

滝川寛之の無料連載小説 「――それで、産むことにしたのね?」 優しくて柔らかみのある美声は当初から好印象だ。ベッキーは思う。こんなにきれいな声だったらどんなに良かっただろうと。だってわたしったら、断末魔のなかで叫びくるってしまって、声帯をやられてしまったんですもの。いまではすっかりかすれた声になっている。一生懸命にきれいな声を出そうとしたところで無理なのだわ。こればかりは仕方ないものね。 「ところ […]

  • 2022年4月3日
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小説 運タマギルー 38

滝川寛之の無料連載小説 ちゃーん♪ ほら、出てきなさいな。あらら、どうしてこうしていつまでもお芋が出てこないのかしら? もしかして……? ようやく気付いたようですよ。こんな時期外れに出てくるものといえば、太い太いミミズ位のものです。察したベッキーはとうとう消沈してしまいました。 もうこうなったら隣町まで行ってサトウキビに食らいついてやるんだから! 頭に血が上ったベッキーは、運玉森の中を北へ向けて歩 […]

  • 2022年4月2日
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小説 運タマギルー 37

滝川寛之の無料連載小説 ベッキーは目を覚ました。あの井戸端。ススキ群のたどり着く先。頭を撫でてみる。頭髪は元に戻っていた。それだけではない。帯は相変わらずなくなっているのだが、浴衣もこうしてつけているではないか。声が届く。もっと近くに、すぐそばに、感じた。思う。少年探偵団とは何者? 「運玉ギルーなんか怖くもなんともないぜ! だろう?」 「ああ、そうさ! 大鎌持っていたとしてもこっちが先にぎっちょん […]

  • 2022年4月1日
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小説 運タマギルー 36

滝川寛之の無料連載小説 朦朧とした意識の中、彼女は震えた両手で必死に手探る。靄のようなものが邪魔だ。かき分けてかき分けて姿をみようとするものの、触れようとするものの、あろうことか感触は伝わらず、どうにもならない。ベッキーは泣いた。悔しくて悲しくて涙が止まらない。ご主人様はここにはいない。頭のてっぺんをハンマーでかち割ったようにして意識が重くなった。 嗚呼……。嗚呼……。 彼女は発狂しだす。 きえぇ […]

  • 2022年3月31日
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小説 運タマギルー 35

滝川寛之の無料連載小説 考える。脳みそはこん棒でカチ割ったようにしてグラングランと、酷く重痛かった。 ひとつ水を飲みたくて井戸口へ顔をのぞかせてみる。のどはからからに乾いていた。しかしこの場所、自分が背中を流した時とまるで異なっている。 あれ? ここの石畳……コンクリートになってる……。それに、水が出ているパルプの筒なんかあったっけ……? でも、そんなことよりも、とりあえず水を飲まなければ干からび […]

  • 2022年3月30日
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小説 運タマギルー 35

滝川寛之の無料連載小説 ことをおもいます。 なあ、たいへんだったろうて。そうじゃろう? アンダーよ。おまえはろくすっぽ飯も食わずに、厚揚げ屋の古い油ばかり啜っておった。何ともみじめなはなしじゃて。それから若い衆の小便を飲まされ、叩きのめされ、ずいぶんひどい目にあったものよのう。どうれ? アンダーよ。あの時食った厚揚げはうまかったかのう? 美味いにきまっとる。おいしかったのじゃな? アンダーよ。アン […]

  • 2022年3月28日
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小説 運タマギルー 34

滝川寛之の無料連載小説 こを拭うとき、ほのかにエビのようなにおいが立ち込めた。中は洗いたくない。だって、ご主人様の生命が宿っているんですもの。 「帰ったら飯を食らった後、町へ降りてみるからの」 「どうしても、ですか……?」 「どうしてもじゃ。奴には身寄りがワシしかおらんでの、ほっとけん」 「ご主人様は人が良すぎます……。いってらっしゃい、ませ……」 ベッキーは顔をかがめた。涙が溢れてやまない。 「 […]

  • 2022年3月27日
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小説 運タマギルー 33

滝川寛之の無料連載小説 え、ええ! そうです! 彼の妻です! 女房です! 旦那もめでたい男じゃな。うらやましい限りじゃ。 「ただいま帰ったぞぅ――」 おかえりなさい、ご主人様。あの、ご主人様が留守にしている間にお客様がいらしていて、あの、その……。 目をそらす。ベッキーはギルーの顔を直視できない。震えた両手のうち右の人差し指を鍵型にしてから歯で噛んだ。あたりは無音に満ちている。いや、それよりも外界 […]

  • 2022年3月26日
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小説 運タマギルー 32

滝川寛之の無料連載小説 ぱり赤ちゃんを出すところですものね。開発すれば開くものなのだわ。けれどもこれでわたしはもう二度と一般常識的な大きさは適さなくなった。でもでも、ご主人様はわたしにずっとご褒美を与えてくれるだろうから心配はしてないの。だってそうでしょう? わたしはもうぞっこんなのだから。 嗚呼、マリヤ様。わたしに真の悦びを――。 仰、仏よ。ワシに漲る魂を――。 獣同士の交尾はまるで歯を食いしば […]

  • 2022年3月25日
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小説 運タマギルー 31

滝川寛之の無料連載小説 り。それらが円陣を作ってギルーを囲います。それからそれから、徐々にですが円陣が狭まってきますよ。これからギルーは袋叩きにあってぼこぼこのギッチョンです。さあ、どうしたどうした。 万事は休したかのように思えた時、小声が届きました。 棟梁、ここから逃げて下せえ。それしか方法がございませんきに。どうかお逃げ下せえ。おねげえします。逃げてくださいな。 次第に円陣を組んだ者ら全員で小 […]

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