小説 運タマギルー 28

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滝川寛之の無料連載小説

せ。

どっこいしょ♪ こらせっせ♪ どっこいしょ♪ こらせっせ♪

ここは林の出口だ。ようやくここまで水を運んだ。あっぱれやっぱれ。さあさあ、蚊帳のなかにはいるぜよ。藁ぶきの蚊帳に入るぜよ。煙黙々とやぶ蚊を退治だ。もう一息、一息。ちばりやんせ。ちばりやんせぇー♪

どっこいしょ♪ こらせっせ♪ どっこいしょ♪ こらせっせ♪

水を置いたら飯にしようか。ほうれ、紅イモのやきいもじゃてのう。たんとは無いが食え食え、アンダーよ。それから、これから、小さくしぼんでしまったおっかさんをよいしょして共に畑へいかん。さあさあ、食え食えぇー♪

 

ん? 何者――?

 

ベッキーはこの世界にいる。この歴史の中へと誘われた。

ここがどこですって? それはわたしにもわからないの。だってそうでしょう? わたしは、只、眠りについただけなの。ベッドへ横になって就寝したのよ。でも、ちょっとまって。わたしは何か夢を見ていたのではなかったかしら? そう、そうよ。それじゃあここはその世界のはなしだっていうの? それよりもわたし、どうして素っ裸なのかしら?

周囲を見やる。この身を隠せるような代物は存在しない。せめて胸元だけでも――。両腕を手前に組んで乳首と乳房を隠した。まじまじと見やる男衆の視線。

かんじる、とてもあそこが感じてしまうの。だってそうでしょう? わたしは恥毛のないシンデレラ。大人へと成長している身体なのに、恥毛が一本も生えてないだなんて、そんなのおかしすぎるわ。はずかしい……。

「あ、あにき! やっちまいましょう! うっひっひっひ!」

むせ返すような顔つきで押し寄せてくる一人の小坊主。はん! いやあ!

「まて! この者は子供じゃ。ほうれ、みてみろ。恥毛が一本も生えておらん」

「しかしあにき! 体つきはもう大人のおなごですぜ。ささ、やっちまいましょう!」

「だめだ! ならぬぞ、アンダーよ」

ベッキーは座敷の奥からあたりを見やった。この場から逃げ出せないだろうか? そう思ってのことだ。既に立ったまま腰を抜かしている。一歩たりとも歩けるかどうかすら怪しい。本当ならば、ぺしゃんことなって女の子の膝まづきでもしたいところなのだが、いま、しゃがみ込むと言う事は、素っ裸のままで失禁を見せつけてしまうということでもある。それではよけいに小坊主を興奮させてしまうと言うもの。それだけは避けたかった。逃げ出せる出口は男衆二人によって阻まれている。万事は休した。

「うっひっひっひっひっ! あ、あにき! ごかんべんを!」

油顔をした小僧が飛びかかってくる。捕まれた両腕をほどくのに必死で、酷く揺れた乳房と、荒々しく勃起した桃色の乳首を、もはや隠すことができぬまま、ベッキーはのたうち回るかのようにしてもがきにもがいた。

「いやぁぁぁ!」

声とは裏腹に、潮を吹いてしまうベッキー。それは潮ではなくて、只の失禁だと言い聞かせても無駄だろう。アンダーは殺気に満ちた形相となり、彼女の乳首を噛み千切った。

「いたいっ! おねがいっ! やさしくしてぇぇぇ!」

次の瞬間。油顔をした小僧が、突然、中に浮かぶと、そのまま後方へと飛んで行った。

た、たすかった……。でも、なぜ? 何故、飛んだの?

頭がパニック状態だ。状況を判断できない。寄ってきたもう一人の大男は言う。

大丈夫か? ほれ、これを着ろ。丈は長いが身は隠せる。

あ、ありがとうございます……。

なんだろう? 安ど感から涙があふれ出てくる。男は言った。

またしても世捨て人を拾ってしまったな。はて、これからどうしたものかのう……。

ベッキーは思う。このひとは良心のある大男だと。ならば、何がなんでも可愛がってもらわなければ……。なんでもする、何でもしますから。お願いします、ご主人様。どうか、わたしを見捨てないで……。

しかし、何をしてあげればよいのだろうか? 考えあぐね、大男の下半身を見やる。すると、酷いくらいに素晴らしく逞しい男根が、ふんどし布をおったててフルに勃起しているではないか。

嗚呼……。すてき……。ごしゅじんさま……。

中国産マツタケの形をしたふんどし布に白魚の様な両手をあてがう。

はあはあはあ……、

何故だか興奮するばかりだ。

だってだって、こんなに大きいの初めてなんですもの。はあん!

ペニス型の匂いを嗅いでみる。垢と酸味が混じるような酷い臭さだ。だけれど、ベッキーは良いと思った。素敵だと感じた。

これがたくましい男の臭いなんだわ。そうよ、きっとそう。

「おい、女よ。先ほどから何をしておる。悪くはないがやめてくれい、子供が大人の真似をすると良いことは無いのでのう。ほうら、さっさと退いた退いた!」

「嫌です! わたし、ぜったいにフェラチオでご奉仕したいのです。せめてものお礼です、ご主人様。こんなことしかできませんが、どうかこの身を任せてください!」

「フェラチオとはなんだ? 言ってみよ」

「はい、ペニスを、肉棒をお口で掃除する奉仕のことをいいます」

「わしの肉棒がそんなに欲しいのか? 臭いぞ、それでも舐めたいのか?」

「はい……」

ベッキーは承知を得ぬまま、ふんどし布から極太ペニスを抜き出した。

どうしよう、こんなに太いのお口のなかにはいらない。とりあえず、舌できれいにしなきゃ。嗚呼、なんて納豆の味なのかしら? これってもしかしたらわたし好みの味かも。とってもとっても、おいしい……。

今夜からギルーを挟んで右側にベッキー、左側にアンダーと言った具合で就寝しますよ。

今朝は朝から大忙しでした。昼頃にはおっかさんの埋葬は片付きまして、花束の代わりにススキの棉を添えてあげたのです。土をかぶせるころには哀しみも吹き飛んでおりましてね、さあ、これからどうして生きようか? そればかりが頭の中をぐるりとめぐっておりました。

やはり盗みを働くしかないのかもしれぬな……。

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