小説 運タマギルー 29

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さあさあ、いよいよ運玉ギルー伝説の始まりですよ。たのしみたのしみの一件落着。そうでもありません。物語はまだまだ続くのです。

おとうさん……、おかあさん……、おねえちゃん……。

ベッキー寝言を発しております。

こんなかわいい女子供を山奥に捨てるなどとは、本当に世も末じゃのう。しかしこの娘、普通のおなごではないな。なんといえばよいのやら、この屋敷とはまるで畑違いだ。もしや王朝屋敷の娘か? しかしどうしてこんなところにいる? 世の中は分からんことばかりじゃ。けども、この琉球王国は本当にもう駄目かもわからんな。そんなときに官民ときたら銭金囲ってると来たもんだ。全く何のためのお偉いさんなんだかな。とうぜん頭にくるぜよ。うちんところの空手道場もその類なのか? いけねえや、そんな事はあるめえ。しかし、わからんぞ。よし、そうとなったらいつかの夜にでも偵察ってなもんだぜよ。わしは身体がでかいからな。この辺じゃ顔もしれている。いっそ、アンダーを道場へ忍ばせて様子を見てみようか。そのかわり倉の鍵壊しの力仕事はわしの出番だぜ。銭金も重い。わしが担いで出なならんだろう。よっしゃあ、寝るか……。

翌日の事ですよ。ギルーとアンダーが、おっかさんの眠る畑で談笑していました。その中に入ることの許されないベッキーは、一人寂しく芋拾いをしておりましたよ。

のう? アンダーよ。予告状を書かねばならぬかのう?

ははは! そいつはご名案ですぜ! けども、名前のところに”運玉ギルー”なんて書いた日にゃ、直ぐに捕まっちまいますが、どうしやしょう? ぷくぷくぅ! でっせ?

わっはっはっ! そりゃあ、真玉橋の橋げたは覚悟せねばなるまいな!

ははは! 兄貴の事ですから、橋げたも何も、そのまんま担いで岸まで行っちまった方が早いですぜ!

わっはっは! だのう。

そうですぜ!

わっはっは!

ははは!

「それじゃあ、予告状はなしにしておくとして。のう、アンダーよ……」

兄貴が真剣な形相となった途端にアンダーの方は感づいたようで、あ、あにき! 御冗談をはなしされるのですよね? ちょ、ちょっとまってくだせえ! その先はききたくねえや! お、おいら、あの小娘のところへ行って芋拾いを手伝ってきやすっ!

「まてい!」

「へ? 話は違うんで?」

にんまりとする兄貴を観てアンダーは、一息肩を落としますよ。

なんでえ、やっぱり冗談だったのか。兄貴もいけねえや! おどかさないでくだせえよ! ははは!

「ご明察じゃてのう……」

「な、なんですって? ま、まさか! あにき! わての両親みたいなことになりたいんで? ご、ごじょうだんを! わてはまだ死にたくねえでゲスよ! ひぃぃぃ!」

腰を抜かしたアンダーをみて、やはりこの坊主は役に立たんな。と思うばかり。しかしながら他に人がおりませんので、なんとかかんとか考えあぐねますよ。勿論、泥棒のことを、です。

「アンダーよ、何か望みはあるのか?」

「へ? 望みでげすか? そりゃあ、もう……。ねえ?」

助平な表情を浮かべるアンダーをみて、訊くんではなかったな。と、ギルーは頭を掻きましたよ。しかし、しょうもないこともあるもんじゃてのう。どうれ? 今度は小娘と相談でもしてみようかの?

おーい! 小娘よ。こっちへきとくれい!

はーい、ご主人様ぁ!

これっ! アンダーよ。今度は貴様が芋を拾ってこんか! さあ、行った行った!

「なんですか? ご主人様?」

そのなあ……。申しにくいのだけどもなぁ……。

きまり悪そうにしていると、ご主人様、何でもおっしゃってください。わたし、出来る事なら何だってしますので。ベッキーは言いました。

本当か?

そうですよ。

微笑む彼女がいます。

ならば申し上げるぞ。よおくきいとくれい。

「実はいうとな、アンダーと共に水を浴びてほしいのじゃ。井戸でのぅ」

「えぇ? でもぅ……、それで? それで、ご主人様は? ご主人様はわたしの傍から絶対に離れませんか?」

「なあに、あいつに手出しはさせぬ。裸を拝ませてやり、背中を流してやるだけでよいのじゃ。出来るか?」

「裸を魅せるって? 危険なのでしょう? あの男の事だから……。いやだぁ!」

「そうだよのう。はて、困った困った!」

「でもでも! ご主人様がそばにいて手出しさせないっておっしゃるから……」

「良いのか?」

「はい……。本当に少しだけですよ? 裸になるのは……」

ベッキーは思った。

どうしてこんなことになったのかしら? わたしはまだ夢の世界の中ですもの。仕方のないこともあるものなのよ。だけれど、おかしなはなしよね。まるで滅茶苦茶な物語だわ。まって、これが物語だっていうの? わたしの思っていた物語っていうのはもっとメルヘンチックでいて王子様がいてシンデレラがいて……。これじゃまるっきり正反対じゃない。わたしったら臭いペニスまでしゃぶりついちゃって美味しいだなんて、破廉恥にもほどがあるわよ。いいかしら? これはあくまでも夢なのよ、ベッキー。わたしはね、わたしは本物の王子様に逢いたいわ。

嗚呼、これってストックホルム症候群ていうやつかしら? 最近、学校で習ったのだっけ。いいえ、友達から聞いたことなのよ。そうだった、そうだった……。

考えれば考えるほどに脳天がかき乱されてしまう。どうせ夢の中なのだから、成行きに任せで構いませんけど? ベッキーは開き直ることに決めた。そうではなかった。

今すぐに現実の世界へ戻りたい。その思い一心である。

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