小説 運タマギルー 3

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滝川寛之の無料連載小説

し戦士。銀の鎧を纏いていざゆかん。ベッキー姫、さあ、私からの贈り物である教科書をどうぞ。なんて素敵なんでしょう♪

その日の夜。四十二度の温いシャワーから出たのち、化粧台にあるドライヤーで軽く髪を乾かしていた。それに関してはいつもの行動だ。真新しいものではない。しかしその時とき。ふと、浩二君の逞しい美声が脳裏に蘇る。彼はとても温かいのでしょうね……。そう考えるとおもわず温風の吹くドライヤーを乳房に当ててしまう。わたしの乳首はピンク色よ。浩二君、おねがい。気持ちよくしゃぶって。さあ、ぶちゅぶちゅと音を立ててしゃぶり尽くしなさいな♪

オナニーは煌びやかな妄想の世界。ちかちかといくつも光をはじいてはベッキーの理性を狂わせる媚薬へと変貌させていった。感じる、気持ちよい。わたし、わたし、あそこの毛が無いの。浩二君はとっても嬉しいでしょう? だって恥毛はとっても汚い臭いを放つんですものね。それはおしっこの臭いなのか、褐色した血の臭いなのか、それとも淫乱なバギナの匂いなのかはわからない。でもでも、バギナの匂いだけなら浩二君は嬉しいでしょう? そうよ、恥毛が無ければ淫乱なバギナの匂いしかしないものなの。シャネルのようなとっても香しい匂いよ。ほんとうなの。

次の日のあさ、発情期のメス姫になったベッキーは、お母さんからのもらい物である金色のイヤリングを乳首に着けて登校した。こんなの恥ずかしくて誰にも言えやしない。けれどもなんだか浩二君は喜んでくれそうな気がした。性的欲求に飢えているメス猫の香しい声が耳元でささやくことを。しかしけっきょく声をかけられずに一日が終わると、嗚呼、ひとめぼれって酷よね。と自身に幻滅する始末。

小学で知った初恋の相手である学君とはいまだに話をしたことが無い。すっかりわたしは心変わりしちゃったのかしら? でも、遠い恋より近くの恋というじゃない。たぶんそれよ。だからといって学君のことを忘れる勇気はこれっぽっちもない。ベッキーは一人妄想の中で三角関係を築いている。ええっとぉ、わたしは学君も浩二君も好きで、いつだってどちらが先にこのわたくしめの唇を奪って愛の復活劇である白雪姫にしてくれるのか楽しみにしているの。だってそうでしょう? わたしは彼らにとってプリンセスなんですもの。だけどおかしな話よね? 想われプリンセスが逆にオナニーをしているだなんてちゃんちゃらおかしいのじゃないのかしら。そうよ、わたしは告白します。わたくしベッキー姫はもはやイヤリングを乳首に付けた花魁巫女。毒霧を芳香して誘惑する桃色のバギナを持つ血に飢えた淫乱女なのよ。

水圧によって激しい水しぶきを上げる温水シャワーでオナニーしたことだってある。温かいそいつを恥毛のないクリトリスへ摩擦させるのだ。もはや摩耗と言っても過言ではない。肌は段々に割れ目から皮がめくれて赤くなってゆく。勃起したクリトリスをひっこめることは困難を極めた。嗚呼、マリヤ様。あなたもこうしてオナニーをしていたのでしょう? 桃色の勃起したクリトリスに指をあてがって、もしくは指二本で挟み込んでクチュクチュとこすり付けていたのですね? まあ、なんて淫乱なんでしょう! マリヤ様を軽蔑します。でも、それは女の性のようでもありますよね? 発情期は満月の刻。血みどろになったバギナは思い切りよく男根を欲する。狼男のはなしも吸血鬼のはなしも本当の主人公は女性なのだわ。そうよ、そうに決まっている。

毎日毎晩毎朝ベッキーのオナニーは続いた。最近では覚醒しすぎてよく寝つけないほどだ。中途覚醒という脳内覚醒。嗚呼、なんて破廉恥な女なのでしょう。それでもわたしは止めない。もう抜けられないんですもの。当然だわ。女だってエッチなの。本当は男よりもスケベで変態なのよ。ねえ、学君に浩二君。わたしの気持ちが分かるかしら? さあ、おったてなさいな。

桃色の乳首はピークを迎えて固く勃起している。それを自身でつまんでぐりぐりに引きちぎった。それから白魚のような肌色の乳房を思い切りよく揉みしだく。いけない女。私はわたしにご褒美なのよ。ほうれ、クリトリスを休めては駄目よ、左手さん。これからがお楽しみなんだから♪ あん♪ そこ、いい……♪

陽の昇る朝、今日は朝食を早めに食してから中学校へ登校した。学校へ通づる学路に沿うようにして小川がせせらと森から流れている。運玉森は与那原町と西原町のど真ん中に位置しており、やれこちらの森だ、いいやこちらの森だ。と町同士の言い争いの元になっていた。何故にそんなに重要なのかと言えば、森の反対側に位置するだだっ広いカントリーゴルフ倶楽部の税収関係についてだとか、伝説の盗賊『運タマギルー』についてだとか、要は県からの予算を多めに欲しいという理由からだ。その小川には錆びた灰色の鱗を身にまとう天然鯉が何匹も泳いでいる。

「おはよう、鯉さん♪」

ほうれっ! と朝食で残した食パンの耳を細かくちぎってから集団へ放りこむ。鯉はたまらずナマズみたいな鱈子唇をパクパクと水面へ浮かばせてから淡水ごと吸いこむようにして餌を食った。その様子がとても愛らしく思えていたベッキーは、時々このように餌を与えていたものだから、顔がおぼえられているように錯覚した。実際に覚えられていた。

「うふふ♪ 可愛い鯉さんたち♪」

今日、家を早く出たのには理由がある。浩二君、浩二君。ごめんなさい。わたし、あなたを裏切って学君へ声をかけるの。校門でばったりってあるじゃない? それを狙っているの。彼、朝早く登校するから私も早く家を出なくちゃ。それで今日はこの時間なの。ねえ、浩二君。わたしね、あなたへ一途になる為に学君へ告白するのよ。それで振られてしまってようやく彼を忘れることができるの。だってそうでしょう? このままじゃ中途半端すぎて忘れることなんかできないじゃない?

「学君、おはよう――」

発せなかった。いきなり君付けで呼んだら彼は困惑するかしら? だとか、やはり”さん”付け? それとも、様? などと考えているうちに、学君は校門に立ち尽くすベッキーの横を群衆と共に知らん顔して通り過ぎて行った。嗚呼、嗚呼……。

気落ちばかりもしれ居られない。これから毎朝、彼が自分の存在に気が付くまで校門の前に立とう。と決めた。教室の中へ入れば、今度は浩二君に熱視線だ。男って飽きないわ、すてき♪ などと頭の中をお花畑にしてポーッとしているとき、後方から同級生の女子がベッキーの肩を叩いた。ねえ、ねえ。

「ん? なあに? あずさ――」

梓(あずさ)とは小学の頃から仲良しだ。だがしかし、恋の相談はしたことが無い。それは警戒心があっての話なのか、梓をまだ信用していなかったからなのか? そうではなくて、只単に恋話は気恥ずかしかったのである。オナニーをする処女なのだから当然といえばそこまで。だがいつかは梓に相談しなきゃとは思っていたし、親友に隠すのもなんだ

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