小説 運タマギルー 20

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ひげ親父の店主の話はいつ聞いても楽しいものがある。今回もこけら笑ってその場を後にした。

公園へ行くか相談しあう。”今日は宿題が多いんだ。”そう聞くと、嗚呼、やっぱり学君とわたしは違うクラスなのね。と現実に戻されてしまって、なんだか夢心地の放課後が台無しになった気持ちがした。

「それじゃあ、今日は此処でさよならしましょう♪ おやすみなさい♪」

余裕のそぶりをしてみせているが、内心、崖下へ転落したように絶望感をかみしめていたものだから、おおよそ両手がプルプルと小刻みに震えた。

少し寒気のような感覚に落ちやられているような、そんな表情をしているのだろうか? 果たしてどうなのだろう? 学君へはどう映っているの? お願い。しっかりして、わたし……。

「まだ明るいからおやすみのキスは無しな。それじゃな!」

えっ? どうして? どうしてキスをしてくれないの? 嗚呼、ちょっとまって! お願い、学君。わたしに背中を見せないで! 戻ってきて! シンデレラは此処にいるの! もう! どうしてわたしを置いてけぼりにするの? あんまりじゃない! それでは物語は成立しないの! だってそうでしょう? わたしは、わたしは……。

こんや、酷い酷い夢を見た。まさに魔物が忍び寄る悪夢そのものだ。

世界は漆黒の真夜中で、あたかもそこにはベッキーのみ取り残されたようにして酷い孤独を感じた。

嗚呼、わたし、わたしは此処で息絶えてしまうのだわ。此処で、この世界で死んでしまうのよ。嗚呼、一体、なんてことなのかしら? 純白のドレスを身にまとったシンデレラの結末は、緑色と黒が混じった泥を浴びて死ぬってことなのね? そんなの酷いじゃない! わたしは夢を見ていたのだわ。とてもロマンスグレイなるはかなき夢を。それなのに現実はこうして厳罰をもたらす。叩きつける。どうしてなの? ねえ、おしえて。

はだしの足元に何やら異変を感ずる。今度は何――? おもう。そんな余裕はなかった。

この感触はまるでぬくもりのないスライムのようでいてべっとりとしている。それでいて褐色した血液のような臭いがこの空間へ充満し始めていた。

鼻を突くにおいに思わず怪訝な表情となりながらも思い切りよく足払いをしてみる。しかしながら、べっとりとしたそれは牛糞にたかる銀ハエののようにしてしつこい。払っても払ってもたかってくる。もう! ほんとうにうざい! その一言に尽きた。

迫りくる恐怖。どうする? どうにもならない。この暗闇の中では想像のみが実態。気持ちの悪いこれは一体何なのか? 思考の先に廻ってきたのは、腐った死体による地獄への道連れ。

いやよ! そんなのぜったいにいやぁ――!

自身が素っ裸の状態だと気が付くころには、全身中、褐色血まみれだったものだから、おおよそ臭いには不自由しない。これでもかというくらいにベッキーの鼻を攻撃しまくる。

嗚呼、臭い臭いにおいさん。わたしは天性のマゾヒスト。もっと喘ぐ全身を虐めてくださいな♪ そして官能的に感じさせて♪ さあ、やるのよ! やってしまいなさいな! さあ!

痛い――!

突然。

いくつものストロボが真っ暗とした上空から焚かれる。その断片的な光の中で、ベッキーは世にも恐ろしい光景を目の当たりにした。

キャァァァ――!

み、右の乳首が痛いの……。ねえ、どうしてかしら? どうして得体のしれない生首がわたしの乳首をかみ切ってるの? こんなにも鮮血を吹きだしてしまって、これではあんまりじゃない……。気が遠くなる。

勃起した左の乳首のほうにも何やら感触を得る。今度もまた生首さんでしょうね……。さあ、次はどなたかしら?

ぎゃぁぁぁ――!

ストロボに導かれた幻影は、何と赤ん坊の腐った死体である。そいつが思い切りよく乳を吸うようにしてしゃぶりついているのだ。臭い臭い臭い、酷い酷い酷すぎる光景に、ベッキーはもはや完全と意識が遠のいてしまった。白目をむく。口から泡を吹く。失禁した。気を失う。嗚呼……。

深夜の三時半。ベッキーの寝室。ベッドの上。白いシーツ上に水状の世界地図が浮かんでいる。失禁の跡だ。痕跡だ。

目を覚ました彼女は思う。そうか、夢だったのね。それにしてもひどい幻。悪夢。ベッドから立ち上がり、局地的に濡れた寝間着を脱ぎ捨てる。素っ裸の状態で着替えをタンスから引き出した。しなかった。

眠い。とにかく眠いのだ。ベッキーは素っ裸の状態から項垂れるようにして床へ横になった。フローリングの床はとてもつめたい。けれども、火照った体にはちょうどよかった。

寝る、寝る。続きの夢など見やしない。あるのは一秒後に鳴る目覚まし時計の音だけ。熟睡というやつだ。あたかも一秒しか経ってなかったかのように、夜明け時刻はとても早かった。

本格的な秋はとても快適だ。沖縄地方だとなおさらそれに気づく。この時期の起床後は必ず部屋の窓を開ける。明け方に冷やされた朝の空気が、待っていましたとばかりに、弱い北風に乗って入り込む。部屋のぬくもりと外界の冷気とで交じり合った換気は、心地よい按配で全身を包み込んだ。

ああ、そう言えば、わたし、裸体のままだったのだわね。

誰かに見られてはいやしまいか? 構わないと思った。

今日、こんや、わたしは大人の女性となる。どうして? それはね、今のわたしが答えているようなものなの。そうよ、裸のままのわたしが。つまり抱かれるということ? ええ、そうよ。とうとうわたしは学君へ処女をプレゼントするの。彼もきっと童貞君。それをわたしへ与えるのだわ。それってとてもすてきなことでしょう? どこでするの? まさか公園で? 砂場の上でするの? そうよ、砂場の上で脱いでしまうの。もう誰にだって見られても構いやしないわ。わたし、我慢できないの。欲しているのよ。太いペニスを。学君の匂いのするおちんちんを、欲しているの。猫の糞があるのかもよ。別にいいじゃない。糞の臭いなんて最中のアクセントになってよいものだわ。そうでしょう? それは違うと思うな。え? ちがうって、あなたは猫の糞を否定するの? 猫は猫なのよ。どうしてわたし達人間がとやかく言うのかしら? 猫にだって縄張りがあるはずよ。そこでする

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