小説 運タマギルー 2

連載小説
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滝川寛之の無料連載小説

妹はブランコを選択して芝生から移動した。

お姉ちゃんは翌年からダイエットに励むわね、と話していたが果たして本当だろうか? ベッキーはそのことを記憶の片隅にだけおいて、とりあえず何も考えないようにした。中学生活が楽しみな反面、不安でならない。もし、誰か好きな人が出来ちゃったらどうしよう。わたし、本当は好きな人が居るんだもの。学君……。わたしはあなたが好き。

学と言う男の子は同じ年だが、小学でクラスが一緒になったことは一度もなかった。言ってみれば会話もしたことが無い。一方的な片思いである。中学校からは三つの地区(三つの小学校)から学生が集まる。そんな中でこの片思いを一途にいられると言う事は中々に難しいと思ったし、ベッキーは男子児童に人気の女子だ。モテないわけではなかった。心移りは何パーセントかの確率であるかもしれない。断言はできないが、ゼロではないのだ。嗚呼、イエスキリストさま。私は冷水を浴びるつめたい懺悔を受けたいのです。何故ですかって? そう、冷たい水をかぶって目を覚ましたいからです。頭を冷やしたいのです。夢からさめたいのです。だってそうでしょう? わたしはいつまでお父さんの男根を材料に学君のそれを想像してオナニーしなければならないのですか? それじゃあんまりでしょう? よりによってお父さんの男根なんですもの。元々は肉親のペニスなんですものね。いけない女。酷い女。

ベッキーはエロティック漫画をたまたま読んだことがある。お姉ちゃんが少女コミックスと一緒に購入していた”ヤングマガジン”と言う漫画雑誌の中にそれがあった。お姉ちゃんは甘いお菓子と同等に大の漫画好きでもある。小学生のころからあらゆる漫画を愛読していて、そのつまみ食い(借り本)をベッキーがしているようなもの。アナル責めのオナニーを覚えたのも、元はと言えば表紙からグラビア水着の淫乱写真で始まるアダルトコミックスの影響である。めくった先には尻を立てておねだりするグラビアガール。いつもながら水着から破裂しそうな豊満な胸を、背中をくねらせて更に強調するポーズで決めつけている。嗚呼、あなた達ったら本当によだれを垂らして勃起している男の餌だわね。でもあれでしょう? まさか女の子がこの写真を観てクリトリスを勃起させながらオナニーしているだなんて考えてもみない事でしょうね。

ベッキーのはしたない言葉はすべてエロティック漫画から来ている。そこから言語を頂戴した。もちろんかわいい女の子が現実では使えないものばかりだ。マスターベーション、オナニー、アナル責め、バギナ、エロ、フェラチオ、中出し、ザーメン、潮吹き――。淫乱な言葉は他にもたくさんあるけれど、一通り整理してみると、自身のオナニーに必要な言葉はこれくらいのもの。それを自分が言葉責めに遭っているかの様子を想像して毎晩オナニーをするのである。学君。わたしね、小学校六年生でオナニーをしているの。とっても大人でしょう? 貴男とだったらいつだってオーケーなの。心の準備はできています、ご主人様。さあ、わたしを巫女にしてください。生贄にしてください。精子を顔中に塗りたくって微笑んでビンタを張って。わたしはマゾヒストで淫乱娘。あなたのためなら何だってできます。

やがて初夏から燦々の真夏になると不二家ネクターが美味い。それからそれから真っ赤かの太陽みたいなスイカだ。夏休みはエアコンが手助けしており快適である。お盆は旧盆に祝い、そのなかでもエイサー大会がとにかく楽しかった。花火大会も良い。さあさあ! と旧盆も終わりを告げると月刻がみるみる過ぎゆき外界は時間と彼岸を追って秋になる。家族そろっての墓掃除は当然欠かせなかった。そろそろこの島も冬を迎える。沖縄と言っても十二月から二月まで極寒となる。真冬の凍てつく寒さをこらえて登校の毎日。それから三か月たつと三学期を終了し卒業式がある。小学校卒業式で泣きじゃくる子はいない。皆、笑顔で紅白のカルカンと卒業証書を土産にして家路へと着く。

春先の四月からは制服を着けて中学校ヘ上がる。場所は小学校と正反対なのだが、住まいからは徒歩五分くらいであり、目を閉じてでも辿りつけるほど非常に近かった。西原東中学校の面積はマンモス校に比べてそれほど広くはないのだが、地理的に言えば非常に恵まれていた。最寄りのスーパーにデパート。人気の三平ラーメンからマクドナルドまで近い。海側の土地で平坦でもあり坂道は一切ないものだから、遠くから登校する子には自転車通学が許可されていた。ねえ、お姉ちゃん。お姉ちゃんも進学できてよかったね! そうね、漫画ばかりで受験勉強なんかろくすっぽしていなかったけれど、まあ、わたしのばあいは元が違うから。これを機会に美容に関しても力入れてみようかしら? え? ダイエットするってこと? そうよ。去年の初夏に話したでしょう? お忘れかしら? それでね。それで、わたしはシンデレラ姫になるの♪ どう? メルヘンチックですてきでしょう? まあ! 何ということなんでしょう! これはまるで漫画の世界みたいだわ♪ だって、お姉ちゃん痩せればきれいだもの。全然シンデレラ姫になれるわよ。それからそれから白雪姫。白雪姫? そう、王子様のキスで目覚める白雪姫。うん、それも悪くはないわね。うふふ♪ わたしの王子様はどなたかしら? きっといい人見つかるよ。そうだね♪ そうよ。

今日は中学の入学式だ。お姉ちゃんも同じ日に式典である。彼女らのお母さんは大変だろう。しかしながらお母さんはベッキーを優先して式に出た。それに関してお姉ちゃんはなにも言わない。だって高校がバスに乗って遠くにあるんですもの。仕方ないわよ。そんな大人な彼女にベッキーは憧れを抱いたくらい。

西原東中学校一年三組の第一印象は”とにかくうるさい”。ベッキーが入ったクラスのことである。廊下にはそれぞれのお母さん方が並んで立っており、教室の中を覗いていた。担当は先生机に座って何かをチェックしている様子。それから教壇へと移動し第一声を上げる。「皆さん、静かにして座って。はじめますよ」波風立たない口調に、とってもおしとやかな女先生だな。そう感じた。年はお母さんと同じくらいかしら? 勘ぐってみる。それについて確定的に知ることはなかったのだけども、そのうち分かることですものね。と、この気持をすぐに忘れた。

入学式のあった登校初日は教科書を貰う事と自己紹介だけで学校を後にした。日曜日を挟んで月曜日から授業が始まる。この時代は週休二日制ではなくて土曜日も登校日だったわけだが、四時間授業で午前中には帰れた。それは小学校の時と同じだ。だがしかし、平日の授業はほとんど六時間授業でほとほと眩暈がするほどしんどいとおもったし、宿題も合わせると遊ぶ時間などないに等しかったものだから、お姉ちゃんが漫画で就寝前過ごすのはそう言うことかと納得がいった。

ベッキーのひとめぼれは登校して最初の月曜日。そう、授業が始まる日である。彼の名前は”浩二(こうじ)”。ベッキーの机から前席である。土曜日の初日、教科書を最前列から配る際、顔を合わせた男子。まあ! なんてイケメンなんでしょう? これって幻かしら? 単なる偶然なの? いえ、これはれっきとした必然なのだわ。そうよ。彼は選ばれ

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