小説 愛するということ 51

連載小説
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「そっか。健二の野郎、其処まで分かっていたのか」

守の話し方に変化が見られる。恵は何か違和感のような物を感じた。しかし、今の所それにはっきりとした答えは見つからなかった。守は続けた。

「健二は小百合から何かを聞いて、話した。そして君は、知ってはいけない事を知ってしまった……。どうやら、恵ちゃんの口も今すぐに封じる必要があるみたいだね。まあいい、どっちにしろ、早かれ遅かれ君は僕の体になる予定なんだ。構わないさ」

「え?」

恵は更に混乱した。

「傷があるのは、何もこの島に一人だけじゃない」

「え? ど、どう言う事ですか?」

恵の体が危険を自然に察知し、硬直した。

「小百合をやったのはこの俺さ」

「え? 嘘……、でも、傷が……」

恵は次第に体が震えだした。

「傷は多分、これの事だろ?」

守はTシャツを脱ぎ捨てた。胸に手術らしき跡が残っていた。恵は思わず目を見開き、そして完全に震える以外に微動だに出来なくなった。それは、小百合を犯した犯人は守だと分かった瞬間。

「あいつは本当に物分りが良かった」

夢で見た男が放った声と今の守の恐怖じみた声は完全に一致している。恵は守の顔を見た。そこには、恐ろしく薄気味の悪い顔に豹変した守があった。

「小百合は俺が密かに酷い病気持ちだって事気にして、犯人が誰だって事を皆に黙って抱かれてくれた上に、しまいには勝手に一人で死にやがった。ストックホルム症候群って奴でいかれちまったんだな。何回も無理やり犯したのに看病続けてくれてよ……。それとも、まさか本気で惚れちまってたのか? ハハハ、そんな、まさかな」

守がいきなり恵に飛び掛り、体を横に倒してその上に乗っかった。

「い、嫌! どいて! 放して!」

守は恵の言葉を耳に通す事無く話を続けた。

「俺はあいつが好きだった……。たまらなくな。この意味、分かるか?」

「う、嘘よ! 名前も思い出せないほど軽く考えていた。そうでしょ? 酷い人! 最低よ! 貴方なんかに好きだったなんて言われても迷惑だわ。もうどいて! 放して!」

「どくもんかよ。お前はもう俺から逃げられない。小百合と同じでな。今度はお前があいつの代わりになるんだ。良い話だろ? ああ、良い匂いがする。この匂い、たまらない……」

「い、いや! や、やめてっ、やめてください!」

「お前も此処が感じるんだろ?」

そう言いながら、守が恵の首筋と耳元を何度も舐め回した。守は倒れた恵の上に乗っかり両手を力ずくで掴んでいる。恵は思い切りに力を入れて抵抗するが、息が切れるだけで自由に動けないで居た。ハアハアと呼吸が混乱している。

「どうだ、感じるか? 小百合と同じ様に興奮しやがって。若い女は皆同じだな」

「ち、違います! お、お願い、放して!」

「何言ってるんだ。もっと気持ち良いのはこれからだ」

今度は腰の上に乗った状態で恵の制服を脱がせようと両手を離した。恵はそうはさせまいと抵抗するが、腰から下が自由にならず、うまく力が入らない。守は途中でボタンを一つ一つ外すのが面倒になり、思い切りボタンを剥ぐ様にして制服を真ん中から破った。恵のブラジャーで覆われた両胸が露出した。守は更にブラジャーを脱がせようと、恵にくっ付き背中に手を回した。ホックが外れた。すかさず、今度は邪魔物を脱がせようと、力ずくでストライプを肩からずらし、とうとう完全に恵の身体からブラジャーを取り上げた。恵の両胸は完全に露出した。

「綺麗な胸、してるじゃないか。もう大人だな」

恵の両腕は、今、ストライプをずらすのに一杯だった守の両手から自由となっている。恵は咄嗟に両胸を隠した。

「おっと、まだ抵抗する気力が残っているのか。仕方ない奴だな」

そう言うと、守は力ずくで恵の腕を退かした。恵の綺麗で若い乳房が再び露出した。守が今度は、顔をゆっくりと露出した胸へと近づけてから、桃色の乳首に唇を当て、それから、とても愛しそうに、勃起した先を舌で舐めてから口の中へと含んだ。そして官能的に濡れた桃色なる乳首の全体を思い切りに吸い込んだ。その瞬間。恵の脳に、姉、知子と徹の間に起きた出来事が何重にも巡った――。

平成元年の二月八日の旧正月を終えかけた深夜から、徹による上村家長女、知子への性的暴行は始まり、そして、悲しい事に初めて知る性のぬくもりとこれから深まり行く強制的な快楽と共に彼女の心は徐々に崩れ去り、同年四月。高校三年となった知子は、遂に徹に対して完全に抵抗なき性的奴隷へと化した――。その出来事が、今、この場にいる恵を感情一杯に苦しめる。恵は耐えられず大声を発した。

「嫌――!」

その大声は、遮られた窓と壁から通る様に、辺り一帯にまで不思議に響き渡った。

「誰か、誰か助けて!」

その直後。家の外で恵の帰りを心配しながら待っていた実が、守の家の玄関の扉を音を立てて思い切り開いた。実と恵の目が遠くで合った。

「恵!」

実は声を大きくしてそう呼ぶと、土足で玄関へ上がり、守に思い切り飛びかかった。

「この野郎!」

大の男が病持ちの守を取り押さえる事は容易。

「恵! アイヤー、心配したよ。大丈夫ね?」

恵美もこの時、後から駆け付けていた。恵はこの事件後、実を少しでも疑った事実を思い切りに恥じた。

 

愛すると言う事~第六章

 

正樹は中学を卒業後、昔住んでいた家の隣に住む老夫婦の長男の紹介で、この東京へと就職に出た。旅立った先にあるこの大都会。その全てに、正樹は最初から圧倒され驚かされた。それはもう彼の目に映るもの全てが新鮮。それ位に、これから生活していくこの都

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