連載小説 この世の果てにおいて(愛するということ2) 6

連載小説
連載小説

滝川寛之の無料連載小説

 

寛之は東京の寮にて佳子からの手紙を読み返していた。全てで何十通もある。そのひとつひとつをちゃんと保管し、たまに読み返しては涙ぐんだ。

初任給は寮費など差し引いた手取りで十二万円からスタート。三か月後には十五万。一年後には十八万円へ昇給。それでも東京という大都会では安すぎだが、彼にとってみれば、まだ世間知らずな所があり、それが当たり前なんだと気付くことが暫く無かった。

町工場のような板金塗装業が寛之の職場。沖縄のハローワークで、あなたの場合はここにしたほうが良いからと強く勧められてのことだった。中卒で出来る他の業種はとてもきついのよ? ここなら将来性も期待できるし、少しは楽なはずよ。理由は一貫してそれ。

手紙が届き始めてから一度も返したことが無い。詳しく述べると一回だけ。寛之の母親が代わりに送った手紙がそれ。たまりかねた母親が息子の寮の住所を教えるために、寛之へ断ることなく黙って手紙を一通、返していた。当然、電話番号も添えて。

佳子は気を使ったのか、電話がかかってくることはなかったが、その代わりとして手紙の頻度が二週間に一回と増えていた。学校で色々あるらしく、また、東京へ出た寛之への想いというものがさらに増大してそうさせたことは、彼に容易と気付きを与えた。

そろそろ返してやらなければならない。いつもそう考えている。しかし余計な心配がそれを拒んだ。佳子なら高校を中退してでも上京しそうだったから。向こうの両親へも彼女の未来へも迷惑はかけられない。そう判断してのこと。

このまま終わらせたくはないという気持ちは当然ある。しかし、だからと言ってどうすればいいのか? 若すぎる彼には良策が思いつかずイライラが募る毎日でやりきれない。いっそのこと、もう帰郷しようかとも考えて悩んだりもした。

 

結局は駄目なのか――。

 

ふと、カレンダーを覗く。今月は佳子の誕生日。何かを贈ってやりたい。一年に一回きりの手紙として。情に負けて高校中退の上京だけはするなと釘を刺しつつ。そうだ、それは名案だと思った。クリスマスプレゼントも兼ねた贈り物。どれにする? 東京でのやる気なさから一気に活力がみなぎった。

そうだな、ちょっとクリスマスらしくないけど、近場にある浅草のげんこつせんべいと、あと他に羽田空港でしか売ってないような奴にしとくかな。おもう。

寛之の寮は墨田区にあり、働いている板金塗装の町工場二階がそれ。全部で三階建てで、ロシア系の外国人も中にはいる。外国人の彼らの場合は、廃車をリサイクルするブローカーとしてロシアとの貿易を兼ねており、工場の中へは姿を見せなかった。ほとんど事務所と車庫でミーティングを済ませている様子だったものだから、寛之は顔見知りなだけで会話を交わしたことが今のところ無かった。

東京タワーまで行っておみやげを買ったほうが良いのかな? そうだな、せっかくのプレゼントだし。東京の地図ブックを見やる。電車はまだ詳しくない。各々の街に関しても知らない事ばかり。地図をバックバックにしまい込んで、ウォークマンで音楽を聴きながら東京の街を一人で散策するのが毎週日曜日の楽しみ。いまのところ、あまり遠出をしたことが無い。まずは近郊からという気持ち。他の寮の奴らはパチンコなんぞ明け暮れている様子だったけど、いかんせん薄給の玉なしなものだから、自ずとそれらに興味を持ったことが無いのが唯一の掬いのようなもの。賭け事でお金を使うくらいならドミノピザと寿司屋へピンク電話でかけて、たらふく食ったほうが良い。そんな思考でしかない。生まれて初めて大トロと中とろを食べたのは、そいつにて。ピザにしても生まれて初めての味覚。東京は本当に美味しいものが沢山あるし、食べれるだけの金銭的余裕がある。それだけは認めている所。その他は故郷のほうが数段上だという気持ちは未だに拭えない。

寛之は墨田の京成押上線から八広駅へ降りて荒川の河川敷を散歩するのが最近のはまりで好き。駅前でタコ焼きなどを購入してから徒歩で向かう。芝の土手に座って舌鼓を打つのがもっぱらのスタイルで、ごみはちゃんと持って帰った。

未成年だが煙草を一つふかす。自分で働いた金で吸うたばこだ。誰が文句垂れるかよ? 町工場の言い分はそれ。自由に吸いな、それが最初の一言。別に煙草が旨いわけではない。逆に、さっぱりこの代物の良さが今になっても分からない。ほっぺに含んで出すだけで、本格的に吸い込みを行っていないから。ただ単にいっちょ前を気取りたいだけ。本当にそれだけの理由。給料日の会に皆して飲むキンキンに冷えたビールすら、苦さが不味くて受けつけない。

――お前はまだまだ青二才だなぁ。

そのからかいが煙草を吹かす理由の一つ。

 

「きょうもありがとねぇ」

煙草屋のばあちゃんとは毎週日曜に会う。一週間分まとめ買いで購入。もしくはワンカートン。銘柄はマルボロメントールのボックス。吸い込みでない分、そういった代物が一番性に合っている。メンソールの風味がたまらなく良い。

ついでに二軒離れた場所にある駄菓子屋も寄る。イカのタレ串をいつも一箱で購入している。それとカツのソース味のやつを一箱。いずれもその日の夜には無くなっている。月曜の朝は食事をとらない。

 

――お前、最近スプレー上手くなってきたなぁ!

 

塗装のこと。スクラップを再生させる板金はまだやらせてもらってない。腕と肩がこるから塗装だけしてろ。それが親方の言い分。青二才の未成年は舐められっぱなし。そこが癇に障っていた。なにくそっ! 思うけれども、どうしようもないこともある。二十歳迎えたらやらせてやるよ。それまで高給取りは期待すんな! いつも言われている事。考えてみれば車の免許すら保有していない。会社の計らいで来年の春から静岡の合宿で取得する予定が組まれていることは知っている。給与は安いが面倒見がいい会社。仕事内容も楽しい。よく考えてみると東京も捨てたものではないな。時々思うこと。

休憩所でディズニーランドの話が出た時はいつもへこむ。彼女を作るつもりはないけれど、それ以前に作る機会が全くない。どうやったら東京で交際を開始できるのか? ナンパをしたことが無い寛之には高い壁のようにいつも思う。いっそのこと佳子のことをほっぽって作ってしまいたい。積極的に渋谷でも行ってナンパでもしてこようか悩むときだってある。渋谷はどんなんだろうか? 何度か行ったが、田舎育ちの寛之にはどうにも肌が合わない。孤独に一人でプラプラ歩いているからか? 友達がいれば楽しめそうな街。じゃあ、友達をどうやって作る? 会社の人間? 皆おやじばかりだぞ? 困り果てる問題のひとつはそれ。

 

「――西新宿に面白い韓国教会があるんだけど、一緒に行ってみるか?」

 

韓国教会? 西新宿? それ以前に、この職場にクリスチャンがいただなんて信じられない。思うこと。いや、俺も半信半疑だったんだけど、秋葉原で勧誘受けて話聞いたときにな、ふと思って、仲間欲しさにはいいかもなってな。ほら、韓国人て美人が多いしよ。出会いあるかなってな、それで行ってみたんだよ。そしたらな、礼拝が凄い面白くてな。韓国人の牧師が韓国語で登壇するんだけど、となりに日本語通訳の日本人信者がいてな。そいつの通訳とリアクションが面白いんだよ。行けば分かるから。今度の日曜な。朝の七時には出るから用意しとけよ。なあに、可愛い子も沢山いるから昼食会の時に顔合わせしてやるよ。任せといて大丈夫だ。韓国料理は美味いぞぅ? 楽しみにしとけ。

新宿……。新宿……。東京マップで確認する。そういえばホームを降りたことが無い。東京で一番、迷路のような駅だから必ず迷子になると聞いていたから。初心者の自分には合わないと思っていた。ゆくゆくは行くつもりだったけど。今回の誘いはちょうどいい、駅の構内を知れるし、外国人とはいえ、同世代の友達ができるなら。思う。

 

「――主・イエスキリストはあなたを必ずお守りくださいます!」

 

たしかに通訳の人が面白いと思った。何だか劇場のような展開と似ている。礼拝の第一印象はそれ。讃美歌の時も合唱団がいて、軽やかで暖かみがあり、それでいて音楽として聴いてみても楽しい。正直、ここが日本だということを忘れるくらいのカルチャーショック。ここ、東京だよな? ああ、そうか。東京だからなのだな? これが東京ならではなのだな? 新しい東京を知った気がしてウキウキとした。そうか、そうか。東京は狭いけど、世界は広いんだな。感慨深くなる。そうか、そうか……。

 

「わたしはパクです。あなたのなまえ、なに?」

 

昼食会の時。となりがたまたま同世代の韓国美女。取り計らったに違いないが、それに気が付くことなく、何だか運命みたいなものを感じた。

「かんこくりょうり、おいしい? くちにあう?」

「はい、美味しいです。あの……」

タジタジの寛之は上手く会話をリードできずにやきもきした。狐顔の美形たる韓国美女がとなりにいて、いま、会話を楽しんでいる。突然のインターナショナル。何だか信じられない気持ちで一杯。今日、来て良かったな。考えてみる。そうだな、これも縁なんだな。おもうこと。

「わたしはりゅうがくせいね、だいがくいってます」

大学生?

「どようびはしごと? よるはなにしてる? でんわある?」

何だか積極的にリードされているが、流れに任せようと思った。質問には全て答えるつもり。寛之はピンク電話の電話番号を教えておいた。そういえば最近、携帯電話が普及していて、前は高いし持つ意味あるのかなって考えてたから保有してなかったけど、でもphsだかなんだかいうやつが安いからとか言ってたな。会話の途中で思い出す。近くのイオンで契約してみるか。決めたこと。それまではピンク電話で自分からかける必要がある。パクの携帯電話を交換しておいた。さっそく今夜からになる。

「今日の子、可愛かったな? どうよ? 気に入ったか?」

ええ、まあ……。

「なんだよ? 元気なさそうに。生気搾り取られたようにしやがって。あはは!」

そんなんじゃないですよ。からかわないでください。

「ほんとおまえは青二才だな? やっぱり童貞君はそれだ」

なんですかそれ! 馬鹿にしないでくださいよ!

「早く卒業しちゃいな、彼女にリードしてもらえ」

分かってますよ! 本当に嫌な先輩ですね?

「で? 今日来てよかったろ? 元気よく返しな」

はい、確かに良かったです。でも、俺……。実は好きな子がいるんですよ。

「初耳だな。 地元か? ここでか?」

地元……です。

「そっかそっか。それも含めて卒業しちゃいな。お前に今必要なのは韓国美女だ。こんなこと滅多にないぜ? なにせ美人だ。しかも真面目な子で頭がいい。正直、お前なんかにはもったいない位だ。このチャンスをどぶに捨てるつもりか? ありえない話だぜ? ちょっとはずるくなりなよ。地元もいいが、ここにはいやしない。二股から始めてみても誰も文句は言えない状況だぜ? 少しは賢くなれよ」

ええ、まあそうですけど……。

「あのなぁ! 本当にお前は青二才のペーペーだな! まったくもう……」

でもまあ、とりあえず友達から始めてみます。あの、それでいいですかね?

「それでいいですかねって? それでいいんだよ馬鹿だなぁ! あはは!」

夜電話で韓国人女性のパクと通話を交わす。今月はクリスマスと佳子の誕生日で、次の休みはその準備をしなくちゃならない。クロネコヤマトへ出向いて発送まで依頼するつもりなものだから朝一からの行動になる。とても教会どころではない。職場の先輩へは既に話をつけてある。来週は無理ですと。どうして? 訊かれたが詳細は伏せた。二股会話の後だったから。パクへは土曜日にでも話をつけておけばいい事。明日は来ないから、と。

「あしたあいたかったよー! ざんねんですねぇー!」

土曜夜の電話でのパクはそれ。その日の帰りにデートへ誘うつもりだったらしい。クリスマス前だ、彼氏が今すぐにでも欲しいのだろう。しかも日本人。言わずとも察せたこと。日本人男性はアジア人女性からモテる。経済的な面で、だ。その話をいつしか聞いたことがあった。なるほど、それか。おもう。

結局は内面的な問題ではないのかな? 不信感募りそうな問題ではある。しかしパクは違った。当初はどうであれ、今となってみれば、寛之との通話や会話にて人間性の観点から好みだと判断した様子だった。その態度があからさまに伝わってくる。それに対して彼は迷いの様なものが芽生えてしまった。佳子にするのか、パクにするのか、について。

クリスマスの日付指定で届け物がある。事務所が預かっていたのを受け取って部屋に入ると、やっぱり佳子から届いたのだなと、心底嬉しくなった。包みの中を開く。

 

拝啓

 

寛之さん、お元気してますか?

佳子の方は元気に頑張ってます

 

わたしへのクリスマスプレゼントありがとう

寛之さんからもらえるなんて、とても幸せです

プレゼントはギリギリまで迷ってて

先に寛之さんのが早かったから

わたしのほうからは速達で贈りますね

ありがとう

 

あのね、寛之さん

東京はとっても寒いのでしょう?

仕事の最中はどうですか?

手が冷たくなっちゃったら大変だと思って毛糸の手袋を入れました

それからセーターとマフラー

この島で探すのが大変だったけど

ほら、ここってそういうの滅多に着けないでしょう?

だから

 

食べ物は沖ハムのレトルトをそれぞれ

なんだかお母さんからの贈り物みたいでごめんなさい

そんなんじゃないの

でも、心配していると、どうしてもそうなっちゃうから

 

それから掛け時計も入れておきますね

安い奴だけど、役に立つといいかなって思います

 

今度、出来れば寛之さんの近影がほしいです

写真を一枚送ってほしいの

わたしのは時々送ってるから分かってると思う

でも寛之さんのはまだ無いから

正直、そういうのがなくてとても辛いです

 

できれば毎月手紙返してほしい

文通というか

電話だとあれでしょう?

料金だとか、仕事で疲れてるのに大変だと思うから

 

日曜は何してますか?

わたしは高校から始めた部活動をまだ続けてます

そう、バトミントン部

本当に面白くて

 

寛之さんが元気にしている写真楽しみにしてます

だいぶ昔と変わっているはずだから

 

それではまた二週間後に手紙送りますね

楽しみにしてくれてると嬉しいです

でもきっとそうなはず

だからプレゼントを贈ってくれたんですもの

本当にうれしい

ありがとう

 

かしこ

 

今年のクリスマスイブはパクと一緒。メイクラブ無しの食事デートだけだったが、十分楽しめた。シティーホテルのディナーバイキングがそう。パクも寛之も東京者としては金銭に乏しい。安くて質の良いところが自ずとそうなる。案内したのは当然パクの方。今後のデートも彼女がエスコートするのだろうな、思うこと。構いやしない。

パクへのクリスマスプレゼントはどうしたらいいか迷ったが、女性用の靴下にしておいた。友達の段階では無難な所。自身ではそう考えている。彼女からはノーメーカーの香水だった。まだまだ出会ったばかりの只の友達、お互いにプレゼントの中身を期待していない。その逆の口説き方としてはアリだけれど、背伸びをするつもりはなかった。あくまでも自然体に、駄目ならそこまで。まだその程度の気持ちでしかない。

「ヒロ、とうきょうタワーいくよ。きれいとこいこ!」

デートの最後は夜の東京タワーで終い。しばらく眺めて写真を撮って、あとはパクの住まいまで送るだけ。外国人と言っても美人。夜道を一人で帰すわけにはいかない。男としての責任は心得ているつもり。前回のデートでは日中に解散したので、今回で彼女の住まいを知ることができる。マンションに二人暮らしと聞いている。同じ留学生仲間と一緒だと話していた。とうぜん女性の方。もうひとりは教会へは通ってないみたい。会ったことが無いから、訊かずともわかる。

「きょうはありがと、またらいしゅうデートね。やくそくだよ? しょうがつはいっしょにはつもうでね! オーケー?」

オーケー、わかった。

「すべてわたしがリードね! オーケー?」

はいはい、オーケー。

「うふふ! はい、おりこうさんですね。おやすみなさい」

おやすみ、パク――。次の瞬間。

パクが唇を寄せて頬にキスをした。次いで寛之の唇を奪う、積極的に舌を絡めて。寛之にとって初めてのリープキス。初体験である中学の彼女とすらやったことが無い。やり方が全く分からない。が、パクの巧みさで全てはカバーできている。彼は身をゆだねるだけ。その一言。

 

「ほんとうにヒロはピュアでナイスガイね、わたし、あなたがとてもすきよ」

 

年明けの正月三が日。

予定通り寛之はパクとデート三昧。年末に冬のボーナスが出たので、懐が少々温かい。少しくらいの出費はどうってことはない、心の余裕がある。

大みそかの夜、二人はラブホテルの一室で真っ白な世界を一つになった。テクニックなど、どうでもいい。パクの言い分はそれ。セックスはきもちのもんだいなのよ。彼女は口癖のように良く言う。自分へ言い聞かせているのかどうかは分からない。ただ、寛之の行為に満足はしている様子。それだけが救い。

 

寛之は性の快楽についてパクからこっぴどく開発された。それがたまらない気持ち。それを目の当たりにして彼女は嬉しそうな顔をいつもしている。いつまでも年下扱いするのはそう言うことからだろうな。寛之は行為の後に、いつも思う。

気が付けば佳子のことが遠い思い出になっている。そうではない。彼女からの手紙がそれを固く阻止していた。わたしを決して忘れないで。その言葉を投げかけているかのように。それを考えると寛之はやりきれない思いにかきたてられる。何が二股だ? こんなに気持ちが恥ずかしくて苦しいとは思わなかった。正直、舐めていた。結局、俺は東京もんのように要領よく恋愛ごっこを出来た器じゃないってことだよな。ほとほと自身にうんざりする。

 

だからなに――?

 

悪魔のささやきというやつ。上京してからよく現れるようになってきた。心が灰色に汚れていくのは自身でも手に取るようにして分かる。これが東京なのか? これが東京の生き方なのか? 考えるだけ無駄。訳が分からなくなるから。

「ヒロ、なにかんがえてる?」

言われてハッとする。内装壁にフランスのレンガタイルが施された喫茶店の隅の一角。テーブルは丸く、シングルないしペア用の席。店内は白基調だが、アクセントの土色がお洒落に今風を醸し出していて好印象で落ち着く。ジーショックの腕時計を見やる。

かれこれ十八時半あたりになる。今夜もラブホテルで休憩だろうか? おもう。そうでもない。佳子のことが頭から離れないから。

二人を同じだけ愛するということは難しい。好きであるという気持ちは佳子に分があり、愛するということはパクにある。彼女らを同時に考えた時、いつも心の中が酷く乱れてどうしようもなく息苦しくなる。脳内はミキサーにかけたミックスジュースのようにしてぐちゃぐちゃとなり、鬱なのかどうなのかほどに頭が重たくなった。

「きょうは早めに帰らないか?」

どうして? パクの言い分。

「手紙を書かなきゃならない、田舎へ」

いなか? こきょうというの? ふるさとのこと?

「そうだ、今夜で必ず出しておきたい」

そう……。彼女はそれ以上訊くことをしなかった。悟っているのかどうかまではわからない。只、パクの表情が酷く曇っていたことは確か。この場をなごみの会話で払しょくするつもりはない。

「わたしにもたまにかくね。ヒロ、それでゆるしてあげる」

 

前略

 

佳子、元気にしているだろうか?

俺は事故もなく無事だよ

 

突然だけど、話しておきたいことがある

俺の身の回りについて

 

去年の暮れに韓国人の彼女が出来た

 

だからもう佳子が俺に手紙を送る必要はない

忘れてくれ、思い出にしてほしい

いや、全てを消去してくれてもかまわない

 

俺は駄目な奴だ

だけど東京色には染まれない

だから一人に選ばなければならない

 

不器用だと思う

黙っていればよかったのかな?

分からないけど

でも、佳子の気持ちを裏切りたくないんだ

 

わかるだろう?

おすすめカテゴリ

小説群

詩集群

お勧めのカテゴリ一覧

二星一心占い 週間占い

四柱推命、占星術、霊視、サイキックを駆使した占い

週間占いもズバリ的中ラッシュで好評です

二星一心占い 週間占い

送念ファイルを入手

全メニュー 激安seo対策

不倫 呪い 恋愛 メンタル

新規アフィリエイター募集中!全商品が高額報酬50%です!詳細はこちら

 

滝川寛之における最新著書のおしらせ

2022年 新しい著書が出ましたのでお知らせします

「滝川寛之の詩世界7」

「この世の果てにおいて(愛するということ2)」

待望の最新詩集と小説になります

限定日記 小説 詩集

無料連載群

詩集 無料連載詩情

小説 愛するということ

小説 運タマギルー(少年探偵団3)

小説 この世の果てにおいて(愛するということ2)

限定日記 小説 詩集

新規アフィリエイター募集中!全商品が高額報酬50%です!詳細はこちら

 

コメントする

Enable Notifications    OK No thanks