無料小説 処女作品@「愛するということ」第二章 =8=

美子美子……闇の中を唸る様な声が、知子の寝室に今夜もしつこく響いている。

霊が纏わりついてから知子は、妹を自分の部屋で寝るよう話していた為、恵はこの部屋には居なかった。この日も知子は、上向きで寝た状態のまま強烈な金縛り状態にあった。そして何より窓の外に見える夜空は快晴だと言うのに、不自然にもこの奇妙な現象の時だけは、しごく室内の湿度が高かった。ベッドのシーツの上に敷いたタオルケットが、まるで部屋の中で雨が降ったかのように、胴体の下も含む周囲だけがびしょびしょに濡れているのを知子は肌で感じ取れた。彼女は精神的に我慢の限界だった。これで今夜も含み、三日三晩まともに寝むれて居なかった。いや、一睡たりとも寝かしてはもらえなかったのである。知子はとうとう我慢できず、不幸にも決着をつける決意をした。

「貴方、誰なの?

 強烈な金縛りが少しだけ解けて口が開けるようになった時、知子は男の顔を見ずに上を向いたまま恐々と言った。彼はベッドの直隣に立っている。

俺だよ……。誠だよ……

不思議な事に、この唸るような声は、彼の立つ方向からではなく、知子の頭上、かつこだま含みに響きながら聞こえた。

美子……美子……お前、無事に生きていたのか?

どうやらは知子の事を彼の知る別の女性と錯覚しているらしい。

どうしてこんな所に居る? ここは敵が多くて危険だ。早く東京の実家に戻れ」

少し間をおいてから続けざまには言った。彼は妹と誤解している様だった。は終戦に気付いていない。沖縄戦で没し、魂となった時間から一時たりとも時代が経過していないのだ。やはり母が言うように、何十年経った平和なこの世界でも、戦争は未だに終結しては居なかった。

「私、その人じゃありません。もう付き纏わないで下さい」

 先ほどに比べれば金縛りが大分楽になった状態で言った。

「何を言ってるんだ! お兄ちゃんを忘れたのか?

 怨霊の不思議な力が弱まったせいか、男の声はその口元があるであろう方向から正しくはっきりと聞こえてきた。知子の金縛りが完全に解かれた。彼女はそのまま仰向けの状態から声のする方向へと顔を向けた。しかし次の瞬間、再び強烈な金縛りが襲い掛かってきた。もはや目を逸らす事は出来ない。知子は正にこの時から万事休した。何やら体の全体から蒼い炎のようなガスを放出している彼の目は、とても悲しい出来事を芯から伺わせていた。知子が彼の眼差しを五秒ほど見つめた。その時、これまで彼の体験した沖縄戦における全ての出来事が、あたかも自分の記憶の如く、彼女の脳を鮮明に色濃く駆け巡った。凄まじい念から波動が発生している。知子はフラッシュバックに似た現象の世界へと追いやられ、そしてとうとう記憶の中の人物とこの時完全と化そうとしていた。一瞬、ストロボの様な大きな光が部屋中に放たれた。何処からともなく突然と放たれた光と共に、知子はまるで電脳が映し出した様な不思議な記憶の世界で必然的に彼の妹に完全と化した――

二人は今、地下鉄のホームに向かい合って立っている。彼女は、目の前に立つ兄の顔を涙目にじっと見つめていた。兄はとても優しくて明るい笑顔を見せていた。

「お母さんの事、頼んだぞ」

「お兄ちゃん……」

千人針を渡したあのホームで、美子と誠はとても悲しく辛い別れを体験した。彼は自ら命を絶つために南の島へと今日旅立つ。万歳三唱があちらこちらで大きく響きながらコチラまで聞こえてい。兄は最後まで涙を見せなかった。列車の四角い窓から満面の笑顔を覗かせて、彼女の目に入る最後の最後まで帽子を握り締めた手を思いっきり振っていた。しかし本当は妹の見えなくなった列車の中で、彼は我慢する事無く激しく号泣していた。そして思いを込めて念じた。美子……。お兄ちゃん、お前とお国の為に立派に死んで来るからな知子は現在の世界へと戻った。

彼を見つめたまま止まった彼女の目からは大粒の涙が溢れ、そしてどんどん流れて行った。

「一緒に帰ろう」

 彼は最後にそう一言放ち、優しい眼差しで知子手を伸ばした。彼女の魂は完全に彼の記憶の中へと抜け出ていた。今、知子は、彼が没した場面を見終え、そして彼と彼女以外には何も無い真っ白の世界に居る。

「知子! 知子――!

何処からとも無く母の声が聞こえてきた。しかし、今の彼女は美子であり、知子ではなかった。

「だれだろう?

彼女は一旦足を止めた後、声のする方向を振り向いた。が、しかし、再びと彼女は戦没者と手を繋ぎながら、終着のない白い世界を何処までも歩いていった。

次の日の朝、知子の抜け殻は倫子の弟子たちによって除霊所運ばれていた。第一の発見者は家政婦だった。倫子は家からは大分離れた地区への訪問除霊を行っていた為、除霊を終えた後、その依頼者の家主の計らいで用意された部屋にて宿泊していた。彼女が知らせを受けたのは、その訪問宅にてゆっくりと朝食をご馳走になっている時だった。時間は九時を過ぎていた。

「――あ、はい、お世話になってます。はい、先生ですか? はい、あっ、ちょっと待って下さい。今、代わりますので」

家主の妻は受話器を置くと、倫子の方へと伝えに行った。

「先生、御宅の方から電話が来てますよ」

その訪問宅へ掛かってきた緊急の電話にて事細かく倫子は状況を知らされた。弟子達は倫子のスケジュールを予め知っていた為、連絡をこうやって取り付けることが出来た。それだけが幸いだった。

「うむ、分かった。うん、うん――」

ここから自分の拠点までは距離があるために戻るには少し時間が掛かる。やむなく倫子は今だに未熟とも言える二番弟子に「応急処置を施した後、自分が戻るまでの間、除霊所の一室に監禁して置く様に」と指示した。そして受話器を置いた後、こんな時に限って一番弟子を連れて来た事に対して思いきり悔やんだ。

「先生、どうしました?

 一番弟子の由美子が訊いた。

「知子が、……知子がちょっとな」

「まさか!

 電話のやり取りで大まかに察していた由美子が絶句した。

「うん、とにかく急がねば」

「ああ、それならタクシーを呼びましょう」

 隣で聞いていた家主もただならぬ事態察してかそう発した。

「すみません、コチラまでご迷惑かけてしまって」

「いえいえ、良いんですよ。気になさらないで下さい。おい、裕子。丸善タクシーに電話してくれ」

家主の妻は受話器を再び持ちダイヤルを回してタクシーを呼び出した。

倫子と一番弟子を乗せたタクシーが拠点に着いたのは、昼前の十一時を過ぎた辺りだった。何時ものように第二の結界外となる正門前にて二人は下車した。倫子と一番弟子は帰宅途中の乗り物の中で、運転手に悟られぬよう専門用語等を駆使し今回の件について話し合っていた。そして、二人共に合致した答えは、やはり“第一の結界の何処かが破られている”と言う事だった。

「ありがとうございました」

 後部座席の左に座っていた一番弟子が下り、続いて倫子が下車する別れ際に、運転手がそう発した。その後運転手は倫子がドアから離れるのをじっと見つめていたが、倫子は下車し立ち上がろうとした体制から動こうとしな。どうやら門扉の間から見える敷地内を彼女はその位置から睨んでいるようだった。遅かったか……。倫子はそう思いながら、向こう側をまだ睨んでいた。

「お客さん。大丈夫ですか?

 運転手が彼女を我に戻す様に言った。

「あ、はい。ごめんなさい、今、降ります」

下車後、二人はその場に立ち竦ん

「先生。これじゃ第二の結界が破られるのも時間の問題ですね」

 一番弟子は唖然としながら言った。それに対して倫子は何も返さなかった。

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日記帳 @そう言えば韓国の名物ってなんだろうな?

@そう言えば韓国の名物ってなんだろうな?

最近、韓国について考える機会が増えててね。まあ、悪いニュースだとかそう言った奴でのきっかけだけれども、何か良いニュースというか、情報は無いのかなと考えている。一応、アマゾンで調べてみたんだけれども。

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チゲ鍋と出ましたよ。おそらくチーズダッカルビは新しい料理なのだろうね。というか日本人料理人が作ったぽいよね? チースだっ! カルビ みたいなノリで。

韓国とは同盟国なんだしさ、もうトンネルで繋いじゃいなよ。韓国と日本を一つの国にしちゃおう。なんて簡単に言えたものではないのだよね。歴史文化の違いがあるから。まあ、仲良くするくらいなら出来るでしょうよ。仲良くしてくださいな。ただね、日本人が韓国好き好きしているのだから韓国も日本好き好きしてくれないとだね、何も発展しないのだよ。日本にも問題があるけれども韓国にも問題があるのだよなぁ。本当に両者ともに仲良くしてくださいね。

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日記帳 @ワードプレスの奴めが、余計なエディター開発しやがってからに。

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クラッシックエディターのプラグインをインストールしたから一番使いやすかった旧エディターに戻ったけれども、本当に余計なエディター更新だったよね。非常に使いづらいし、使えなくなった機能もいくつかあったから。どうしてあんなにも使いづらいエディターを最新のエディターとして採用したのだろうね? 本当に余計なことしやがってからに。

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散文詩 @「劇的」

「劇的」

嗚呼、君は虹色のように

そしてそれは、何かの道しるべ

は遠くでその光景を楽しんでいるけれど、本当ならば一緒に輝きたかった

無情、只それだけが極まりない

そうやって一日が終わる

虹から手に入れたものと言えば、何も残る代物ではない

だけれど、思い出はきっとある

それは何処か?

あしたがきっと教えてくれる

だから今夜はもう眼をつむって眠りにつこう

朝、起きてみて、世界は劇的に幸せとなっているかもしれないから

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無料小説 処女作品@「愛するということ」第二章 =7=

母・倫子は、沖縄では「ユタ」と呼ばれる霊媒師の中でも特に権威のある立場で、依頼の電話が引切り無しに鳴るほどに、とても多忙な日々を過ごしていた。その為、強力な結界が張られた神社のような造りの大きな除霊所や母屋などに居る事がほとんど無く、特に最近では夜中にかけて、一刻を争う緊急な除霊の為に外出を余儀なくされていた。それほどまでにこの島はユタの存在を昔から崇め頼りにして来た。食事や各建物の掃除などの管理はいつも弟子や家政婦の仕事だった。この日の夜も、料理の上手い家政婦の一人が彼女らの夕食を用意していた。彼女達は、多忙により親子の触合いは幼稚の頃と比べて減ってはいたが、とても倫子に溺愛されていた。父親こそ居ないものの、家計はとても恵まれていたので、倫子は姉妹が欲しい物などあれば何でも買ってやり、食事に関してもなるべく贅沢なメニューにするよう家政婦に指示していた。倫子は自分の職業で彼女達が世間に対して肩身の狭い思いをしている事を知っていた。そして“ユタ”は、上村家の先祖代々から受け継がれた特殊な能力であり、自分の人生もまた同じ様なものだった。彼女達の寂しさは良く知っていた。長女・知子を出産した際、“ユタ”と言う職を辞めようか迷ったしかし、この能力を放棄する事は出来なかった。何故なら、この能力は大人になればなるほどに、普通見えるべきではないとても恐ろしい物体が嫌でも余計に見えてくるからである。ガマの結界の件もある。やはりこの状況ではもはや普通の生活は送れない。倫子は、もうこれは“神から与えられた宿命”だと諦めるしかなかった。倫子は、恵たちも何時かはそうなるであろうと言う事に関して、身ごもった時から確信を抱いていた。二人の娘共に何度も堕胎しようか迷った。しかし出来なかった。結界等に関しては、自分が他界する前にでも弟子跡を継がせれば良い。が、しかし、彼女には身ごもった胎児を堕胎する事がどうしても出来なかった。恵が小学生に上がる頃、倫子は一人思った。やはり生んで良かった。しかし倫子はこの時既に、何か不幸の前兆なる“静かで音の無い西風”を、心の何処かに受けているのを感じて居た。倫子はこの日の朝も、母屋の一室にある仏壇で御経を唱えながら彼女らの無事を念じていた。不吉な何かは、とても近くに居る。倫子は最近密かに人知れずおびえ始めていた。

「ねえ、お姉ちゃん」

 恵が銀色のフォークをくるくると空中描くように遊ばせながら発した。

「何 あっ ちょっとまって。今、良い所だから」

 姉の知子はゆっくりと食事をしながらテレビに見入っている。今、最も人気のバラエティー番組が始まっていた。

「今日、お姉ちゃんも見たんでしょ?

 この言葉を聞いた瞬間、知子は全身を硬直させたのを恵は悟った。

「何が?

 知子は何食わぬ素振りで恵の目をチラリと見つめ、視線をテレビに

「だ・か・ら、兵隊さん」

 知子の素振りを注意深く伺いながら恵は話した。

「あの人さ、何処から来たのかな?

「知らない。私は見てないから。気のせいじゃないの? 多分、芝刈りのおじさんよ。ほら、あのおじさんも兵隊さんみたいな格好してるでしょ? 多分そうだよ」

 知子はその場しのぎでそう話したが、恵は嘘を付いている事を完全に察した。

「お姉ちゃんの隣にくっ付いて一緒に読書してたのに?

知子は再び硬直した。震えた手で持っていたフォークを皿の上に置いた。

「お姉ちゃん。隠しても駄目だよ。恵、チャッピーと一緒に見たんだから」

「だから違うってば! もうこの話はしないで。いい加減にしないと怒るわよ」

 知子は、無理やりに蓋を閉じるかの如くそう発した。

知子は十一歳になった頃から、母からガマの話しや霊的現象を、決して全てではないが、恵には内緒で密かに聞かされていた。そして万一、日本兵を見た場合は絶対に目を合わしてはいけないと言う事を話の最後に注意されていたまた、この類の怨霊と話をした場合、普通の人間ならば即座に魂を抜き取られ呪が移ると言う事も繰り返し聞かされていた。但し、怨霊などという何か特殊で異様な物体は、十二歳以上の人間でないと興味を示さないらしい。知子はこの時、既に思春期を迎えていた。十四歳だった。

ガマの周辺を包囲されていた沖縄戦没者の霊は、結界を越えて隣の森に日増しに現れるようになった。どうやら弟子達の知らぬ箇所で結界がほんの少しだけ破られているようだ。妖精の数も大分減ってきた。長の倫子ですら、特に最近多忙でろくに除霊所どころか母屋にも滅多に居なかった為、この事には今日まで気付いていない。正に、第二の結界内に居る恵以外の人間全てが危険にさらされている状況だった。しかし、知子は母・倫子には話さないで居た。二重に包囲してある結界の話まではまだ聞かされていなかったのである。つまり、結界の存在までは全く知らなかったの。知子は無視を続ければ何時かは居なくなるだろうと勝手に決め付けていた。だから周囲に相談するのではなく、一刻も早く“さ迷う日本兵”における“出来事”を、忘れる事に専念した。しかし駄目だった。あの瞬間から男は、誰も周囲に居ない時間だけだが、知子に完全に纏わりついた。何故かは分からないが、どうしても彼は彼女に存在を気付いて欲しいようだった。そして沈黙は、結界が破壊され始めてから三日目の今夜、遂に破られた。

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日記帳 @必ず文学賞が落選すると投票して来る者が二人ほどいる。

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おそらくライバル視されているワナビーアであろうことは間違いない。私に闘争心を燃やしたところで上手くなるわけでもないのに、だ。よく作家の真似して作家になろうとする方がいるけれども、大きな間違いだ。要は、長らく食っていくには個性が大事になってくるということであるからである。であるからして、私に闘争心をむき出しにしつつ、日々執筆に取り組んでいるワナビーアは大成しない。何故だろうか? 作家の個性を重んじていないからである。全ての作家を認めて上げる器がないと駄目なのだよ。その上で売れ線なのか売れ線でないのかは出版社が決めることである。読者が決めることである。ワナビーアが評価することではない。落選に投票した時点でわたしを批評しているということだから器が小さいということになる。でしょう? 石田衣良さん、花村萬月さん、高橋源一郎さん。彼ら先輩方は私と同じことを思うだろうね。

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