無料小説 処女作品@「愛するということ」最終章 =50=

智彦と恵に出会ってから最初の日曜日。正樹は智彦の部屋に午前中居た。二人は最初からお互いに好意的だった為、直ぐに仲良くなれた。勿論、恵も同じだった。恵と智彦は初日こそ正樹に対して互いに何となくぎくしゃくとしたが、二日目の朝からはそうではなくなっていた。三人はある場所で待ち合わせをして一緒に登校していた。帰りも三人一緒だった。恵と智彦のおかげで学校への近道やその他の地理も分かった。この辺りは公園が多く存在していて、その中の一つが学校への近道として利用されていた。展望台からは西海岸が遠くに望める。そんな公園だった。この日の日曜日の午前中は、ゲームを楽しんだり話をしたりで智彦と正樹は盛り上がった。正樹は昼ご飯をご馳走になった後、智彦に恵の家へ行ってみようと持ちかけられた。午前中は宗教的なことをしており会うことは出来ないが、午後からなら彼女に会えると言うことだった。勿論、正樹は承知した。思った通り恵への家へと繋がる道は、森へと潜り行くようなあの私道だった。砂利道の両側は森が支配している。緩い曲がりを越えた辺りで恵の家の門が見えた。それはびっくりするような綺麗で大きな門だった。ほぼ全開と開けられた、これまた大きな門扉を通り越して二人は敷地内へと入った。途中、除霊所と言われる赤瓦の白い神社らしき建物があった。此処で恵は毎週何か宗教的な事をしているとの話だった。直ぐ隣には慰霊碑らしき物がある。智彦は、それについてはこの時何も言わなかった。一番奥にある洋風な建物に着いた。恵の家だ。早速と智彦が玄関のチャイムを鳴らした。すると、少しばかりしてインターホンから声が発せられた。

「“はい”」

「あの、こんにちは。恵さんの同級生の佐々木ですけど」

「“ああ、智彦君ね。ちょっと待ってて”」

 其処でインターホンは切れた。

「今の家政婦なんだぜ。お母さんは忙しくて日曜も居ないことが多いらしいんだ。本当に恵ん家、金持ちだよな――」

 智彦が正樹に言ったその時だった。玄関の扉が半分ほど開いた。そこから顔を覘かせたのは恵だった。

「何? 智彦。あっ! 正樹君」

 言って、恵は片手を口元にやった。

「よお。正樹にお前の家見せておこうと思ってさ」

「もう、そういう事は前の日に言ってよね。とりあえず中に入って」

「いや、天気も良いし外で話そうぜ」智彦が言った。

「あ、そうだね。ちょうど今、お姉ちゃんが居間でテレビ見てるし。その方が良いかも」

「え? そうなのかよ。それじゃ、やっぱり中にしようか? 恵の部屋見てみたいし」

 意地悪く智彦が言う。すかさず恵は返した。

「部屋は絶対に駄目! 直ぐ来るから、ベンチで待ってて」

「ベンチって、彼処だろ? 慰霊碑の所の」

「そう、其処に行ってて」

 言って、恵は支度を急ぐように玄関を閉めた。正樹と智彦は先ほど除霊所の隣で見かけた慰霊碑の場所へと向かい、そして目的である大きな木製で四角のオープンダイニング型ベンチの一つに腰掛けた。ベンチは合わせて三つあった。座って直ぐに、正樹は慰霊碑について智彦に訊いた。

「あ、これね。昔、ほら戦争中のことなんだけど、この地下には大きなガマがあって、それで、沢山の一般人と日本軍が其処に隠れてたらしいんだ。そんでな、アメリカ軍がこのガマの出入口見つけちゃって、日本兵も居るし投降しないからって仕方なく毒ガス放り込んでさ、中にいるほとんどの人がそのガスで亡くなったらしい。この大きな慰霊碑はその亡くなった人達のなんだけど、隣にもう一つあるだろ。これは、恵の祖母ちゃんの物なんだ。戦争が終わった後の話なんだけど、何か此処で大変な事があったらしい……恵の話では、沢山の怨霊を押さえつけられなくなったとか何か言ってたな。……とにかく話では、恵の祖母ちゃんにあたる人が此処で命と引き替えに、その沢山の霊を除霊したんだってさ。まあ、その話が嘘か本当かは分からないけど……、と言うわけで、恵ん家、色んなところで凄いって言うか普通じゃないんだ。家業がユタだし。まあ、後で詳しく訊いてみると良いよ」

智彦から話をされて、正樹はもう一つの世界で恵から聞いた話を思い出した。もう一つの世界では、除霊などで犠牲になったのは母と姉だった。特に、最後に沢山の霊を消失させた姉の方は恵も関係していて、彼女はあの時、その霊達は姉や母の魂と共に自分の中に存在すると言っていた。恐らく、この世界では一つ手前でその出来事が起きていた。そういう事だろうと正樹は察した。

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