無料小説 アマチュア時代作品 @川辺にて(10)

舞の提案で、昼食後は皆でゲームをして楽しんだ。舞は心が読めるのでトランプなどといったゲームには参加できなかったが、それでも隆史の隣で楽しそうに微笑んでいた。

「王手!

隆史が甲高い声で叫んだ。

「なぬ!? しまった~! ちょっと“待った”じゃ!

「もう駄目だよ、セベアおじさんにテルおじさん。もうこれで四回目じゃない」

「隆史よ、少しは手加減せんとな。おじさん達はこのゲームには少しばかり弱いんじゃ」

「手加減無しって言ったのは貴方たちの方よ。ねえ? 隆史」

「そうだ! そうだ!

「将棋というヤツは、なにせ先読みを必要とするからな。爺さん達にはちょっと苦しいかもしれぬ。隆史よ、此処はもう一つ“待った”してあげても良いのではないか?

テイクが訊く。

「先読みはテルの得意技じゃない。ハンデは無しよ」

隆史の代わりに舞が言う。

「姫様、先読みと予言とでは少しばかり異なりますじゃ。これは参ったのう……隆史よ、“待った”できぬか? この通りじゃ!

言ってセベアとテルは土下座をしようとした。

「待ってよ!そんな大げさにしないでくれよ、セベアおじさんにテルおじさん。分かった、もう一回だけ“待った”してあげるよ」

「もう、隆史って本当にお人好しね」

「ありがたい。それじゃ此処から続きじゃ」

言って、セベアとテルは共同して駒を何手か戻した。

「まあ!こんなに戻すの!? セベアもテルもずる賢いわね。隆史、負けないで!

「姫様が何と言おうと此処からじゃ。さあ、続きじゃ続きじゃ! 隆史よ、これならどうじゃ?

してやったりと言わんばかりの態度でテルが言った。

「う~ん、こう来たか。それならこれで詰みだね」

「なんじゃと! どれ……モググ、詰まれておる。いやはや、やられたわい!

「これで勝負ありね。ウフフ♪」

「何で隆史はそんなに強いのじゃ? 何かしておるのか?

テイクが首を傾げて訊いてきた。

「将棋倶楽部に入ってるのよ。ねえ、隆史」

「よく知ってるね。あ!そうか、心が読めるんだった」

「将棋倶楽部とな……はて、倶楽部とは何ですぞよ?

「一つの共通した趣味の持つ者同士が集って勝負したり腕を磨いたりする団体の事よ」

「なるほど、それでこれ程長けている訳ですな?

「それ程でもないけど」

照れながら隆史は言った。

「どれ、ワシも一戦交えてみようかの」

テイクが言う。

「お手柔らかに。テイクおじさん」

「手加減は無しじゃぞ。隆史」

長いとも短いとも言えぬ時間で勝負が決まった。勝ったのはテイクだった。駒を取らせては攻め行く戦法で徐々に隆史をいつの間にか追い込み首を取る戦い方だった。

「参りました! ひぇ~、テイクおじさん強いや!

「“テイクスペシャル”という戦法じゃ。覚えておくと良い」

言って、テイクはにんまりとした。

「“テイクスペシャル”か~。なんだか格好良い!

「そう思うか?

「うん。テイクおじさん、俺を弟子にして下さい!

言うなり、隆史は土下座した。

「うむ、考えておこう」

上機嫌に立派な態度でテイクは答えた。

「弟子が出来て良かったわね、テイク」

舞が訊く。

「はい。こやつは鍛え甲斐のある奴ですわい」

言って、テイクは微笑んだ。

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