連載小説 愛するということ 第二章 8

「ガマに戻れ!」
倫子にはもはや除霊の困難な怨霊たちを成仏させる術は無い。彼女に今できるる事は、第一の結界から抜け出た霊全てを再びガマへ戻す事くらい――。
「由美子、塩を撒きなさい!」
 倫子が怒鳴る様にして一番弟子へそう発した。それから再び御経を唱え始める。一番弟子の沼田由美子は言われたとおりに清められた塩をすかさず取り出し天へと目掛けて力強く何回もばら撒いた。途端に怨霊たちはガマへと追いやられる。それを確認した倫子は由美子と共に、結界線となる白い綱を両手で掴み入魂し続けた。これでおおよそ二日は持ち堪えるだろう。後は知子を一刻も早く元へ戻した後、じっくり取り組んで結界を直せば良い。
「由美子、後はよろしく頼む」
 倫子はそう発した後、握っていた白い綱から手を離した。
「はい、分かりました。お気をつけて」
倫子は、第一弟子のいるこの場を後にし、除霊所の方へ急いだ。恐らく残された時間はわずかしかない。霊媒師としてこれまで立ち向かって行った幾つのも経験が、頭の中をそう過った。

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