愛するということ 第二章 6

 翌日の朝、知子の抜け殻は倫子の弟子たちによって除霊所へ運ばれていた。第一の発見者は家政婦だった。倫子は家から大分離れた地区へ訪問除霊に行っていた為、除霊を終えた後その依頼者の計らいで宿泊していた。彼女が知らせを受けたのはその訪問宅にて朝食をご馳走になっている時だった。
「――あ、はい、お世話になってます。はい、先生ですか? はい、あっ、ちょっと待って下さい。今、代わりますので」
家主の妻は受話器を置くと倫子の方へ伝えに行った。
「先生、ご自宅の方から電話が来てますよ」
その電話で事細かく状況を知らされた。弟子達は倫子のスケジュールを予め知っていた為、連絡をこうやって取り付けることが出来た。それだけが幸いだった。
「うむ、分かった。うん、うん――」
ここから自分の拠点までは距離があるため、戻るには少し時間が掛かる。やむなく倫子は今だに未熟とも言える二番弟子に「応急処置を施した後、自分が戻るまでの間、除霊所の一室に監禁して置く様に」と指示した。そして受話器を置いた後、こんな時に限って一番弟子を連れて来た事に対して思いきり悔やんだ。
「先生、どうしました?」
 一番弟子の由美子が訊いた。
「知子が、知子がちょっとな」
「まさか!」
 やり取りで大まかに察していた由美子が絶句した。
「うん、とにかく急がねば」
「ああ、それならタクシーを呼びましょう」
 隣で聞いていた家主もただならぬ事態を察してか、そう発した。
「すみません、コチラまでご迷惑かけてしまって」
「いえいえ、良いんですよ。気になさらないで下さい。おい、裕子。丸善タクシーに電話してくれ」

☆情報の転載転売禁止!
情報が第三者の目に触れることは法律違反になります。
シェアボタンや機関等における一部掲載なら構いません。
有料記事分は完全に一部掲載も認めません。
(第三者拡散一人一記事当たり1,000万円の損害賠償金)

滝川寛之の著書一覧
滝川寛之の著書(アマゾン公式)
公式ヒロキリスト一覧

献金はこちらより(入会から一か月おきに150円です)

富士通 デスクトップパソコン FMV ESPRIMO FHシリーズ
富士通 ノートパソコン FMV LIFEBOOK AHシリーズ