連載小説 愛するということ 第二章 2

倫子は火炎放射器や毒ガスの煙幕によって黒く焦げ付いた鍾乳洞、いわゆる沖縄の方言で言う“ガマ”へ弟子と共に巡礼していた。彼女の除霊所である神社のような大きな建物の奥方には、最も悲惨で悪霊の数と力が最大。よって、もはや除霊は困難とされるガマの入り口が潜めてあった。このガマの存在を娘二人へ絶対に話す事はしない。
このガマの入り口には大きくがっしりとした鉄の門扉があり、その扉には鍵が二重三重に掛けられ、そして門の存在を隠すように大きな神棚などがその手前に奉られていた。その神棚からは左右に白い綱が建物の外へとずっと伸びており、そこからガマの上にある森すべてを一周して囲っていた。とても巨大な結界である。
非常に強力なる結界は、実はそこだけではなく、万一に備え、姉妹が遊ぶもう一つの森や母屋一帯にも別の手法を用いて張り巡らされていた。幸いな事に、白い砂利道を挟んである二つの森の内、一つ目の結界が張ってある森には、白ペンキに塗られた塀が行く手の侵入を阻んでおり、また、その森は戦時中、アメリカ軍によるガマ包囲網の際、極めて局地的に緑が消された状態から甦生させたものなので、古い大木などは一切無く、よって二人の好きな妖精は居ない事から、倫子が注意するまでも無く、姉妹はもう一方の森には興味など持たずに立ち入る事はなかった。

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