連載小説 愛するということ 第二章 1

愛すると言う事~第二章
一九七七年
恵は正樹が誕生した年から一年後となる昭和五十二年十一月七日に生まれた。
彼女の家系はとても複雑で、特に母に関しての職業は神秘性があった。
恵の母、上村倫子は霊媒師で、沖縄では”ユタ”と方言で呼ばれる存在だった。彼女は一度、職に関する問題から離婚の経験があり、今回授かったこの子の父の場合、妊娠が発覚してから突如蒸発し行方をくらませていた。この時、父親こそ違うが、恵にとって姉の存在といえる五歳の愛娘が居た。
姉妹には母譲りの天性なる特別な能力が備わっていた。二人は除霊所などに隣接された母屋の広い敷地内に聳え立つガジュマルの森で遊ぶのが昔から好きだった。理由は、彼女らにしか見えない特別な動物が居るかららしい。聞く所によるとその奇妙な動物は頭髪が濃い赤色で肌が全身土色、背丈は彼女らと同じ位らしい。樹齢百年以上ある大きなガジュマルにのみ生息すると言われている悪戯好きの“キジムナー”であろう事は間違いない。倫子はその動物の話を晩御飯の時間にうんざりするほど聞かされていた。姉妹はそろってその動物の名前を「チャッピー」と呼んでいたが、母はそれがガジュマルの妖精でありちゃんとした呼び名がある事を知っていたが、二人を気遣ってか、その話をしばらくの間伏せていた。

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